簡易金型とは?│低コストと短納期を実現する簡易金型のメリットと注意点を解説

金型について

簡易金型とは

簡易金型とは、量産を目的とした量産金型よりも構造を簡略化したり、加工しやすい材質(主にアルミやZASなど)で製作される金型のことです。試作品の製作や、数百〜数千ショット程度の小ロット生産に特化しており、低コスト・短納期での対応が可能です。


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簡易金型の種類

カセット型

カセット型は、金型の外側部分である「モールドベース」を共通化し、製品形状を作る中心部分だけをカセットのように「入れ子」で交換する方式です。製品ごとに金型一式を製作する必要がなく、入れ子のみを製作すれば良いため、材料費と加工費を大幅に削減できます。
また、開発初期段階では設計変更が生じることが多いですが、その場合も入れ子の変更のみで済むため、設計変更にも柔軟に対応できるのが特徴です。

カセット型のイラスト

アルミ型・ZAS型

材質にアルミやZASを用いた簡易金型のことです。アルミやZASは量産金型で使われる鋼材に比べて、軽くて柔らかい材質です。そのため、切削加工が非常にしやすく、金型の製造時間を大幅に短縮できます。また、アルミはカセット型の入れ子部分の材質として使われることも多いです。

一方で、耐久性や精度は鉄製に劣り、大量生産や高精度が求められる製品には不向きです。また、アルミは鉄に比べて柔らかいことから磨きに弱いため、透明品やメッキ品の仕上がりに制限が出る場合があります。

樹脂型

樹脂型は、金型全体または入れ子を樹脂で製作する方式で、切削加工や3Dプリンターで製作されます。他の材質よりもコストが低く、短納期での対応が可能です。ただし、耐久性は極めて低いため、数個〜数十個の少量生産の場合に適しています。

 

簡易金型のメリット

金型費が安価

簡易金型の最大のメリットは、金型費を安価に抑えられることです。量産金型では高硬度の鋼材を使用するため材料費が高くなります。一方、簡易金型は、アルミやZASなどの安価な材料を使用することで、材料コストを大幅に削減できます。さらに、共通のモールドベースを使用するカセット型の場合、製作が必要なのは「入れ子」のみとなります。そのため、一般的に量産金型の50〜70%程度の費用で製作でき、試作や小ロット生産の初期投資を抑えたい場面に最適です。

短納期で製作可能

簡易金型は構造がシンプルで加工工程が少ないため、短納期で製作が可能です。また、簡易金型で使用されるアルミやZASは柔らかく軽量で加工性に優れているため、加工にかかる時間が大幅に短縮されます。製作期間が6~12週間かかる量産金型と比べて、簡易金型は2~4週間程度で製作可能です。製品開発において納期の短縮は重要なポイントです。簡易金型であれば迅速な市場投入や製品評価が可能になります。

 

簡易金型の注意点

成形費が割高になる場合がある

簡易金型は、金型自体のコストを大幅に削減できる一方で、成形費(製品1個あたりの生産コスト)は、量産金型に比べて割高になる傾向があります。簡易金型も量産金型と同様に、金型の取り付けや材料の交換といった段取り作業が発生します。段取りは一般的に数時間かかるため、その時間分のコストが成形費に反映され、1個あたりの単価が上がります。
他にも、下記のような要因で成形費が高くなります。

材料費:材料の仕入れ単価は購入量によって異なるため、少量購入は割高になる。
マンチャージ:簡易金型では初期投資を最小限に抑えるため、成形品の取出しを有人で行うことが多く、極力自動化を行う大量生産と比較して割高になる。

成形費について

また、金型の構造を簡素化しコストを抑えるために、「置き駒」を使用することがあります。これは、1ショットごとに作業者が手動で着脱する必要があるため、その手間と時間がサイクルタイムを長くし、結果として成形費に反映されます。

カセット型は製品サイズの制限がある

カセット型は共通化されたモールドベースを用いることで低コスト・短納期を実現しますが、モールドベースの規定サイズを超えてしまう製品には対応できません。その場合は、製品に合わせた金型を新しく製作する必要があります。
各社で保有するモールドベースの仕様は異なるため、事前にメーカーへの確認が必要です。

カセット型構造

アルミ型は耐久性が低い

アルミ型は材質が比較的柔らかいため、鋼材で作られる量産金型に比べて摩耗が早く、ショット数に限りがあります。一般的に、アルミ型のショット数の目安は数百回程度と言われており、数万~数十万といった大量生産には向きません。
生産数量が増えると金型が摩耗し、バリなどの成形不良が出やすくなります。そのため、量産品や複雑な形状、細かな寸法精度が要求される製品では、鉄などの鋼材を用いた量産金型が選ばれることが一般的です。
さらに、ガラス繊維入りの樹脂材料は摩耗性が高いため、ショット数が一層制限されます。

 

簡易金型が最適なケースは?

射出成形で量産する前の試作

製品を量産する前、製品評価のために実際の成形条件で試作をしたい場合に、簡易金型は最適です。切削加工や3Dプリンタによる試作では再現が難しい「物性試験」や「強化繊維入り樹脂の強度試験」など、簡易金型であれば量産と同様の条件で確認できます。

物性試験
その他の工法では使用できる樹脂材料が限られます。厳密な物性試験は量産と同じメーカー、グレードの材料での試作が必要です。

強化繊維入り樹脂の強度試験
強化繊維入りの樹脂材料を選定した場合、繊維の配向が強度に大きな影響を与えます。その他の工法でも、強化繊維入りの樹脂材料がありますが、成形方法によって配向が異なるため、厳密な強度試験には不向きです。

小ロット生産(数百~数千個)

簡易金型は、数百~数千個程度の生産数量に最適です。量産金型と比較して簡易金型は安価ですが、数十万円~数百万円の初期コストが発生するため、数百~数千個程度の生産ボリュームがあると費用対効果が得られます。

小型製品

カセット型は一般的に小型製品向けです。多くのカセット型は成形機サイズ350ton以下のモールドベースを使用しているため、大型製品の成形には対応できないケースが多いです。大型製品の場合はアルミ型やZAS型などの簡易金型を使用する場合がありますが、金型サイズが大きいため、金型費が数百万円以上になる可能性が高いです。

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簡易金型と量産金型の比較

簡易金型と量産金型のどちらを選定するべきかは、製品の目的や生産数、予算などによって異なります。それぞれの違いを理解しておくことが重要です。

簡易金型 量産金型
主な用途 試作品製作、少量生産 大量生産
素材 アルミ、ZAS、樹脂、鉄 鋼、鉄、鋳鉄
金型コスト 安い 高い
製品単価 高い 安い
製作期間 短い(2~4週間程度) 長い(6~12週間程度)
推奨生産数 数百~数万個程度(※) 数万~数百万個程度

(※)型材質によって異なります。

> 簡易金型と量産金型の違いを詳しく見る

 

まとめ

簡易金型は、試作品や少量生産の製品に適した射出成形用金型です。金型費を抑えることができ、短納期で対応できるという大きなメリットがある一方で、成形費は割高になりやすいことや製品サイズの制限、耐久性が低いといった注意点もあります。これらの特性を理解し、量産金型と適切に使い分けることが、プロジェクト成功のポイントとなります。

㈱関東製作所では、簡易金型サービスをご提供しています。「開発コストを抑えたい」「リードタイムを短縮したい」といったご要望から、「簡易金型と量産金型のどちらを選ぶべきか」といったご相談にも対応しております。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

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