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2段階で『反り』を抱えていた内装壁材「シラスパレット」
内装壁材「シラスパレット」の改修事例になります。
ご相談を頂いたのは宮崎県に本社がある高千穂シラス株式会社様。商品の特性としては、300mm角の樹脂パレットに左官職人がシラスを塗った製品で、左官工事不要で壁への脱着が容易にできる内装壁材です。
上記のベースになる樹脂材パレットにシラスを塗ることで、本製品が完成します。
以下は、メーカー様の商品カタログからの抜粋写真です。
ご相談を頂いた問題点とは2つありました。
[問題①] 他社の成形メーカー様では、射出成形の際に反りが発生
成形後、専用の治具にて強制的に反りを補正して、何とか改善は出来ている。
[問題②] パレットにシラスを塗り乾燥させると、シラスの収縮で反りが発生
改善不可能な状態。
という状況でした。2段階で『反り』が発生してしまっていたのですね。すなわち改善要求としては、
- 射出成形の際に極力反りを抑える
- シラスを塗っても反らない
という2点でした。
リブ形状を徹底検証 流動解析を繰り返し最適案を導く
まずは射出成形時に、徹底的に反りを抑える対策です。
製品の壁と接する面には、マジックテープを貼るためのフラットエリアを設けるなど、いくつか条件がありましたが、まずは徹底的に『最も反らないリブ形状』を探し出さなくてはいけません。そう、流動解析によるシミュレーションの活躍です。
『リブ形状をデザインする』→『流動解析にて反り具合を数値で確認する』を20回以上繰り返したのち、最も反りが抑えられたデザイン案に落ち着きました。
反りを改善させた『具体的な不良対策』の紹介をしています。
> 射出成形で発生した成形不良『反り』の発生原因と対策を学ぶ
シラスを塗っても反らない『ガラス入り樹脂』の提案
使用樹脂には『ガラス入り樹脂』を提案しました。
ガラス入り樹脂とは、樹脂にガラス繊維を練りこんだ材料で、一般的に樹脂の強度をあげる場合に用いられます。今回の場合、旧仕様ではABSを使用し、ソリのないパレットにシラスを塗ると反る事から、シラスの乾燥時に起こる収縮に通常のABS材では耐えられないと考えました。そのため、ガラス入りABSの材料を提案したのです。
ただガラス繊維は、成形機のスクリューやシリンダー、逆流防止リングなどを引っかきながら流動しますので、それらの摩耗を伴なってしまいます。
しかし関東製作所グループでは、耐摩耗仕様の成形機も所有していますので、その点は全く問題ありません。
検証方法としてはリブデザインの最適案ができた時点で、まずはガラス入り樹脂のブロック材を『切削加工』で試作品を用意。それに実際にシラスを塗ってもらいました。
その結果、シラスを塗ってもパレットが反らないことが検証できたため、『金型製作』→『製品成形』の工程へ進むことができました。
【射出成形ラボの簡易金型サービスはこちらより】
> 最短納期を2週間で!180ton射出成形機用の簡易金型を、60万からご提供いたします。
プラスチック製品開発のベストパートナー
関東製作所グループの強みとは、一度スタートしたプロジェクトは必ずお客様と最後まで走り切ります。
プラスチック製品を作り出す多くの工程に対し、応えられるリソースは十分に持っています。また協力会社様をはじめとした広いネットワークも駆使し、プラスチック製品開発を確実に実現させることが可能です。
プラスチック製品開発のベストパートナー、関東製作所にぜひご相談ください。
お問い合わせ・技術相談は(株)関東製作所にて承ります。
> [お問い合わせ] 射出成形ラボを運営する(㈱)関東製作所です。
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