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意匠側の無数の格子形状 『ガス溜まり』や『ボイド』への対策
自動車のフロントに取り付けられるフォグカバーです。該当車種はトヨタのクラウン。最も苦労した点は、意匠面に敷き詰められたグリルの格子形状の再現です。
幅2~3mm、高さ5mmほどのリブ形状で構成されたこの格子ですが、このような部分は射出成形時に、先端にガス溜まりやボイドなどの品質不良が発生しがちです。
通常、『割りコマ』を配置することで先端に溜まったガス抜き対策を行いますが、そのガス抜きの隙間が『割り線』として形状に現れてしまいます。外観に出ない裏面なら問題ありませんが、このグリルの格子形状は意匠面。決して外観からは『割り線』が見えてはいけません。
『割り線』を意匠面に出さない金型構造での工夫
ポイントは、敷き詰められた格子形状において、ガス抜きの隙間が生まれるPL(パーティングライン)をどこに持っていくかです。
前述のように通常、裏面のリブ形状での『割りコマ』は先端に設けるので、さほど難儀な金型構造にはなりません。(※上記の②図)しかし今回は格子一つ一つに対し、先端から一段下がった位置に形状をデザインし(※下図)、そこをPLとすることで意匠面側に割り線が現れない工夫を詰め込みました。
切削加工においても当然工数は増え、また金型仕上げ時には片面120個以上ある格子一つ一つにもすり合わせは必須です。非常に地道で繊細な作業の連続でしたが、無事量産フェースに移れた時は喜びもひとしおでした。
【射出成形ラボの簡易金型サービスはこちらより】
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高級感を演出する光沢のブラック樹脂塗装
細かく緻密な形状とは相反するラウンドした下部エリアは、ブラックの光沢塗装が施されます。
メッキ塗装と同様、金型面のわずかな歪みは塗装により助長されてしまいます。数十年金型製作に携わるスタッフの技術と品質管理により精度要求をクリアし、納品に至ることができました。
関東製作所グループでは、今回のような非常に複雑な形状や特殊品・試作品なども、金型の設計から後工程まで一貫対応しております。特に複雑な意匠形状品ついては数多くの実績がありますので、プロジェクト実現までパートナーとして並走させていただくこと、お約束いたします。
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