目次
流動解析とは?
金型内の樹脂の流れをシミュレーション
流動解析は、射出成形における金型内の樹脂の流れをコンピュータ上でシミュレートし、製品品質に直結する樹脂の流れ方や充填パターンを予測するCAE解析の一種です。これにより、設計段階での不具合予防や品質向上策を事前に講じることが可能となります。
流動解析では、樹脂の圧力と温度の変化、繊維強化材の充填時の配向、そして成形時の変形量を解析し、ウェルドラインの位置やエアトラップの予測など、成形不良の事前対策に役立てます。特に、金型製作前の詳細な検討により、納期短縮やコスト削減にも寄与します。
サービス① 流動解析サービス
弊社の流動解析サービスは、お客様の具体的な要望や予算に応じて柔軟に対応いたします。例えば、金型設計の初期段階で「ウェルドラインが出そうな位置だけを知りたい」といった限定的なニーズに対しても、スポット解析にて5万円(税抜)からの低価格を提供しています。
さらに、基本的な充填、フロー、ウェルド、エアトラップなどの流動解析から、変形予測に対する追加リブの提案。加えて追加後のシミュレーション予測など、最適な金型設計に直結する包括的な提案でのフルサービスも展開しています。
これらのサービスは、50年を超える樹脂用金型製造における豊富な実績と、ISO9001およびASES(日産自動車の品質保証ライセンス制度)の取得を通じて培った量産成形事業での経験に裏打ちされた、堅実なものです。
流動解析・フロー・ウェルド・エアトラップ
金型に樹脂を流す(充填)の際にかかる圧力と樹脂の温度を解析します。これにより「ウェルドライン」や末端に発生する「エアトラップ」「ガスパック」の位置等が把握できます。
作りたい樹脂製品が複雑形状や多点ゲートの場合、流動解析の導入は必須でしょう。それらの製品には、上記の不具合以外にも「ガス溜まり」「ボイド」「シルバーストリーク」「反り」等の懸念が特にあるため、不要な金型設変を低減する為にも、充填のシミュレーションは非常に効果的です。
繊維方向解析(FIBER)
樹脂の中にガラス繊維や炭素繊維を含む材料があります。そのような繊維入りの樹脂の場合、充填時の繊維方向が変形不良に繋がってしまったり、部分的に強度が異なって成形される可能性があります。
例えば同じ製品、金型仕様でもABSとABSガラス入りであれば、変形の仕方が異なる事があるのです。よって、樹脂の流れとは別に繊維の配向を解析する必要があります。
サービス② 反り解析サービス
上記で解析した充填(FLOW) /保圧(PACK)、繊維方向解析(FIBER)を基に製品の変形量を解析します。この時点で変形量が数値化できるので、例えば、どうしても変形してしまう製品は、金型を逆反りで製作して、成形時の変形が起こる事で変形方向を相殺し、製品図面通りの形状にする事も可能です。
また、シミュレーションで浮き彫りになった変形量に対し、リブの追加やデザイン変更の提案等も可能です。提案には解析による客観的なデータと、弊社ベテランスタッフの経験値を掛け合わせた実施を行います。
反り解析による製品改善事例
製品名 | シラスパレット |
---|---|
製品寸法 | 300㎜ × 300㎜ t(厚み)= 9㎜ |
クライアント名 | 高千穂シラス株式会社様 |
製品用途 | 内装壁材 |
樹脂材料 | ABS-GF30(ガラス繊維30%) |
製品特性 | 板形状で強度・平面度が要求される |
反り発生の原因検証
最初は『発生原因は材料由来』とアタリをつけ、既存のリブ形状のまま、まずは流動解析で材料別でのシミュレーションを行いました。モニター上で材料ごとに数十通りの射出条件でトライ。その結果、どの材料で成形条件を変えても、真ん中部分から製品先端辺りの最終充填部分に行くほど、板が反ってしまう結果でした。
リブ形状のデザインを変更して流動解析を行ったところ、今までと異なる箇所に反りが発生しました。デザイン変更によって反りの発生箇所が変わったことから、反りの発生原因は『形状由来』であることが検証出来ました。
実施した反りの対策
約30種類のリブ形状のデザインを流動解析して反り解析の変位量を出しました。左図はその一例です。
試行錯誤の結果、最終的に反りが寸法内に収まるリブ形状デザインを見出すことができ、最終案としてお客様に提案をいたしました。
上記写真は、流動解析によって決定されたリブ形状のデザインを金型の構想設計とし、「金型設計」「金型製作」「成形」の工程を経て出来た製品です。反りを解消させることに成功しました。
サービス料金と納期日数について
下記参考価格・日数は、弊社「流動解析」サービスの成形ランク100ton以下の製品の場合のものです。
詳しくはお問い合わせにてご相談ください。
解析プラン | 価格(税抜) | 納期日数 | 備考 |
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流動解析 | 50,000円~ | 2営業日 | 基本的な流動解析を行います。 |
流動解析 + 反り解析 | 85,000円~ | 4営業日 | 基本流動解析と反り解析を行います。 |
CAE解析フルパッケージ | 210,000円~ | 5営業日 | 基本流動解析と反り解析に加え、要因解析、形状変更提案、金型設計への最適化提案まで行います。 |
金型を製作した後、もし「ゲート変更」という事態に陥ったら、金型改修に20~30万の改修費が必要になります。
さらに、製品の板厚偏差に至っては50~60万もの改修費が必要になります。
そういった事態に見舞われないためにも、金型設計前に徹底したシミュレーションを施しておくことが、無駄な予算・納期延長を回避する唯一の施策です。
しかし、流動解析はあくまでシミュレーションであり、最終的な金型のチューニングには職人の技術も必要です。
そのうえで、材料の詳細、金型仕様、成形機の仕様など、正確なデータを基にした高精度の解析が成功の鍵を握ります。
(株)関東製作所では、中から大型の製品成形において、流動解析を通じて不具合の頻発と改修事案の連続を防ぎ、納期遵守とコスト効率の向上に努めています。
お問い合わせ・技術相談は(株)関東製作所にて承ります。
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