射出成形で発生した成形不良『キャビとられ』の発生原因と対策を学ぶ

キャビとられ
キャビとられのサンプル画像

射出の成形不良『キャビとられ』とは

金型の動きとしては本来、成形品が金型のコア側に張り付いた状態で、コアが稼働し開きます。(下図③)
その後、コア側の『エジェクターピン』が押し出されることで、成形品を取り出すことができます。(下図④)

金型開閉のステップ①とステッチ②

キャビとられのステップ②とステッチ③

 

キャビとられ』とはすなわち、ある原因で金型のキャビティ―側に成形品が固定されてしまい、成形品が取り出せない不具合のことを言います。

金型開閉のステップ③とステッチ④

 

なお、一般的にエジェクターピンを稼働させると、どうしても成形品にピンの跡が残ります。そのため意匠面側にはエジェクターピンは配置できません。

エジェクターピンの跡

必然的に、金型のキャビティー側が製品の意匠側になり、コア側が裏面になるという構造です。(製品によっては、逆になるケースもあります。)

 

> (株)関東製作所が実際に行った『キャビとられ』の具体的な対策とは?
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射出成型ラボが教える「成形不良の発生原因と対策」

キャビとられの発生原因と対策

キャビとられの発生原因は主に2つ挙げられます。

金型の『抜き勾配』が小さい

成形品の、特にキャビティー側の抜き勾配が小さいと、成形品がコアの動きに抵抗し、キャビとられが発生しやすくなります。
対策としては、あらかじめキャビティー側の抜き勾配をコア側よりも大きくとり、逆にコア側は小さくすることで抵抗を少なくし、製品がコア側に残るようにします。

キャビとられの図説

金型構造に『アンダー』がある

アンダー形状が残っている場合、その部分での抵抗が大きくなってしまいキャビとられが発生します。アンダーと言ってもいろいろあり、

ケース① 単純にアンダーが残っている

アンダー部を無くすため、形状変更かPLを変更することが一般的です。どうしてもアンダーになってしまう場所はスライド機構等を組み込むことで対応できます。

ケース② ミガキが足りない(加工目のざらつきが小さなアンダーの役割となる)

ミガキの番手を良く考慮し、使用する。あまりにミガキすぎると逆に真空状態ができ、抜けなくなるので要注意。

対策事例 - 意図的にアンダーカットを加える -

キャビとられのサンプル画像

製品用途 スマートフォンの卓上スタンド
製品寸法 83㎜ × 94㎜ × 28㎜
樹脂材料 ABS、バイオプラスチック「RiceResinR」
製品特性 スマートフォンを立てるための溝が深く彫り込まれたデザイン。

 

今回の事例では、キャビティ―側の金型に強く固定されてしまい、取り外すのが非常に困難な離型不良でした。
原因は『収縮』による喰いつきと予測しました。形状の特徴としては、スマホを差し込む溝が深いことがあげられます。その樹脂の両壁が収縮により縮むことで、金型にがっちりと喰いついてしまい、強い『キャビとられ』が発生しているようでした。

そこで対策した方法は、製品構造に設変を加えたことです。

 

この『キャビとられ』不具合の発生は、成形サイクルの大きな遅延を発生させます。特に量産案件では必ず解消したい離型不良でしょう。
今回行った対策方法の詳細は、ぜひ無料ダウンロード頂ける技術資料「成形不良の原因と対策」にてご確認下さい。キャビとられの対策だけでなく、「反り」「ボイド」など、射出成形特有の成形不良対策の事例を掲載しております。

射出成型ラボが教える「成形不良の発生原因と対策」

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