射出成形で発生した成形不良『ボイド』の発生原因と対策を学ぶ

ボイド
ボイドの参考写真

ボイド(気泡)の発生メカニズム

一般的にボイド(気泡)は成形品の内部に空気の泡が発生する現象です。レンズやプリズムのような透明な成形品では、外観不良や光学特性不良になってしまいます。また機構部品、機能部品では強度の低下や破壊の原因になったりします。

成形品肉厚部の中心は、成形品の表面に比べて成形冷却が遅れるので、早く冷えて収縮の起こる表面の方向に樹脂が引き寄せられます成形収縮がその中心部に集中した結果、中心部に空洞が生じることで『気泡』として製品内に残ってしまうのです。※下図参照

ボイドが発生するイラスト図

また、同じような成形不良でバブルと呼ばれるものもあります。成形材料である溶融プラステックの中にガス・空気が混ざってしまったことに起因する気泡です。

 

> (株)関東製作所が実際に行った『ボイド』の具体的な対策とは?
射出成形による不具合、『反り・バリ・シルバーストリーク・キャビとられ・ウェルドライン・ボイド』の発生原因と、具体的な対策をまとめた技術資料を無料でダウンロードいただけます。

射出成型ラボが教える「成形不良の発生原因と対策」

ボイドの発生原因と対策

ボイドの改善対策は、一般的に下記のような方法が考えられます。

[金型] による改善対策

原因 対策
①エアーベントの不足 エアーベントの追加
②コールドスラグウエルがないまたは小さい コールドスラグウエル(※)の追加
②スプル―、ランナー、ゲートが細い スプルー、ランナー、ゲートを太くする

 

※コールドスラグウエル

ランナーの末端に設置する樹脂の溜まり部。その役割は、金型に最初に入ってきた冷えかかった樹脂を収納するためのもの。
金型に最初に入ってくる樹脂は、成形機のノズル先端に停滞している樹脂であるため、ノズル内部の樹脂より冷えた状態となります。この冷えた樹脂が成形品内に流れてしまうとウエルドラインなどの成形不良を引き起こしてしまいます。

[射出成形条件] による改善対策

原因 対策
①キャビティ表面温度が高すぎる キャビティ表面温度を下げる
②保圧が低すぎる 保圧を高める
②保圧時間が短い 保圧時間を長くする

[材料] による改善対策

原因 対策
①予備乾燥が不十分 予備乾燥を十分にする

[製品形状] による改善対策

原因 対策
①成形品の肉厚が厚すぎる 肉厚を出来るだけ薄くする

対策事例 - PL面の外周に『樹脂溜まり(捨てタブ※)』を配置 -

ボイドの参考写真

製品は現在開発段階のため詳細は公開できませんが(2022年2月現在)、製品用途やサイズ等のスペック情報は以下になります。

製品用途 トラック用リザーブタンク
製品寸法 510㎜ × 300㎜ ×135㎜ t(厚み)= 8
樹脂材料 PP白(SABIC4935-00PP)
製品特性 肉厚成形品。タンク内に冷却水が入る・車両外の取り付け、など耐候性が求められる。

 

金型可動側のPL面の外周に『樹脂溜まり(捨てタブ)』を、製品と同じ肉厚で追加しました。そして保圧の圧力を上げて、空洞の内部に閉じ込められた空気を押し出す対策を打ちました。

 

『樹脂溜まり(捨てタブ)』がどんなものなのか?

無料ダウンロード頂ける技術資料「成形不良の原因と対策」にてイラストや写真付きで詳細にご説明しております。尚、ボイドの対策だけでなく、「反り」「シルバーストリーク」など、射出成形特有の成形不良対策の事例を掲載しております。

射出成型ラボが教える「成形不良の発生原因と対策」

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